反射について

光(赤外線含む)の反射という現象は大別して次の2つの形があります。

①金属面による反射:自由電子の働きによる反射。反射の法則にそった指向性の強い反射となる。

②微小透明体による反射:白紙や白布,小麦粉などの反射。通常は拡散反射(乱反射)となる。

①の金属面による反射はごく表面で行われる。反射の法則どおりに反射するので、乱反射させるには表面を凹凸にする必要がある。しかしこれを行うと反射率が低下する場合が多い。金属を細かい繊維状や粉末にすると、乱反射してその金属面間で何回も反射を繰り返す事が多くなり、そうなると吸収量が多くなる。

例えば反射率0.9のアルミ面でも5回反射すると(0.9)5=0.59となる。金属を細かくするほど表面の曲率が小さくなり、反射して外部にでるまでにその粉末や繊維内で反射を何度も繰り返すので、反射率が小さくなり、黒っぽくなっていく。

金属面での反射には自由電子の働きが大きく関与するため、一般的に電気伝導度のよい材料が反射率もよい傾向があります。例えば電気伝導度のよい材料は銀,金,銅,アルミなどですが、これらは優秀な反射材料です。金,銅は可視光の短波長域で反射率が落ちるので着色し、可視光反射率が若干劣りますが、赤外域では優秀な反射率を持ちます。

光加熱ポイントヒータなどで金メッキミラーを使うのは赤外域反射率が最も優秀なためです。銅も優秀なのですが、酸化などにより劣化しやすいので使いません。銀も空気中の硫黄化物などにより黒く変色しやすいという欠点があります。

余談ですが、熱の移動にも自由電子の働きが大きく関与します。そのため電気伝導率の優秀な材料は熱伝導率も優秀です。(銀,銅,金,アルミニウム等)
金メッキ鏡とアルミ鏡の反射特性およびハロゲンランプの放射特製
上図からハロゲンランプの放射エネルギーを利用するという目的では金メッキ鏡が優れているのが分かります。アルミ鏡は反射効率が金メッキ鏡に比べ約10%落ちます。ただし可視光用としては短波長側(青領域)の反射率が悪く、着色するので使えません。紫外線用としてもダメです。このような短波長領域や可視光全域用ミラーとしてはアルミが適しています。

金属面での反射に対して②の反射は逆の傾向があります。例えば氷砂糖は透明であり、ほとんど光を反射しない。空気と氷砂糖の屈折率の差による僅かな境界面反射だけです。しかしこれを細かくしていくと微小粒の内部で光が複雑に屈折,反射して、そのうち元に戻される光が増えてくる。

ザラメはそうでもないがグラニュー糖くらいになるとかなり反射されて白っぽくなり、白糖になるとかなり高い反射率となり真っ白な拡散反射(乱反射)をする。水の結晶(氷)でも同様。氷の固まりは透明だが、これの細かい結晶である雪は真っ白で高い反射率となる。

白い布や紙も顕微鏡で見ると透明な繊維で構成されている事がわかる。白い紙の反射原理は上記砂糖や氷の例と同じであり、透明な細い繊維を光が通過するときに複雑に屈折し、一部は境界面で反射され、それが繊維の中で何度も繰り返される事で逆戻りする光が増え、高い反射率となる。

つまり金属以外で反射率の高い材料というのは素材としては透明体であり、しかもそれが細かい粉末状や繊維状になることで、その内部で複雑な屈折,界面反射を繰り返して入射光が乱反射される。反射率は素材の透明度が高いほど、また屈折率が高いほど高くなる。従ってこれらは金属の様な指向性の強い反射はしない。

白紙や白布を構成する繊維素材の光の透過率は可視光~近赤外線では良好だが(透明度が高い)遠赤外域になるほど一般的に不透明になっていくため、反射も起こりにくくなる。白紙や白い布,白い顔料などの加熱に遠赤外線ヒータが適しているのは、このような原理で反射光や透過光が減り吸収率が高くなるためです。

余談 上記以外の原理による反射

透明体材料による反射は拡散反射になると説明しましたが、透明体でも金属面のような鏡面反射をする場合があります。例えば薄いガラスの板は空気との界面で数%の鏡面反射をします。これだけならわずかな反射量なのですが、この薄いガラス板を何枚も重ねると反射が加算されて全体として高い反射率を示すようになります。

このように薄い透明膜をたくさん重ねる事により金属光沢をもっている自然界のものとして、例えば魚の鱗があります。また昆虫類にもこの原理により金属光沢を持ったものが存在します。

工業的にも薄膜を多数重ねる事により反射鏡として利用する技術は各種の分野に利用されています。これらは高屈折率の薄膜と低屈折率の薄膜を交互に塗り重ねます。15層程度で金属反射鏡に匹敵する反射率となり、21層では金属反射鏡よりはるかに高い反射率が得られます。屈折率の差が大きいほど高い反射率が得られるので、高屈折率の材料としては二酸化チタン、低屈折率の材料としては酸化マグネシウム,二酸化ケイ素(高耐熱)などがよく使われます。

このような多層膜反射鏡は高い反射率が得られるだけでなく、膜厚をコントロールすることにより波長によって選択的に反射させたり透過させたりできます。これは光の干渉という現象を利用するもので、さまざまな利用分野があります。 ?(膜厚が1/2波長となる波長付近は反射しなくなり透過する)

例えば可視光線は反射して赤外線は透過させるような選択反射膜も作れます。これによりランプからでる赤外線を含んだ光の中から必要な可視光だけを取り出し、照明には不要な(照射物の温度上昇を招き、不都合)赤外線を除去できます(クールビームランプ)。また特定の波長帯のみ反射する膜で白色光を光の三原色に分ける事も可能です。ビデオカメラ,ビデオプロジェクターなど光学機械にはこの技術がよく使われています。

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