ハロゲンランプの概要

ハロゲンランプの知識

ハロゲンランプは不活性ガスを主成分とする封入ガスの中に微量(0.1%程度)のハロゲン元素(主に臭素)を入れたものです。

これによりハロゲンサイクルという化学的循環が起こります。これを説明しますと、まず点灯中は非常な高温で白熱しているフィラメント(材質:タングステン)からさかんに蒸発するタングステン原子は比較的低温部でハロゲンと化合します。→もしハロゲンが無いと蒸発したタングステンはガラスバルブ内面に付着し、黒化するので明るさが減少していきます。

この「タングステン-ハロゲン化物」は蒸発しやすい物質のため、約250℃以上ではガス状を保つ事ができるようになります。そしてハロゲンランプは点灯中のガラスバルブ内壁温度がどこでも250℃以上になるように設計されています。

そのため、このガス状になった「タングステン-ハロゲン化物」はガラスバルブに付着することなくガラス管内をただよい、そのうちそれがフィラメント近くに来ると、その高温により熱分解してタングステン原子とハロゲンに戻ってしまいます。

ここで分離したハロゲンはまた再利用されて前記の反応を起こし(ハロゲンサイクル)タングステン原子の方はフィラメントのすぐ近くで放出されるのでフィラメント近傍のタングステン蒸気が飽和状態に近づき、蒸発も無くなったかに見えます。

しかし実際には蒸発,再付着が頻繁に起こっており、フィラメント表面は時間経過とともに凹凸になっていき、そのうち断線に至ります。このような理由でハロゲンサイクルそのものによる電球の長寿命化はほとんど期待できず、むしろハロゲンの腐食作用による寿命の悪化傾向の方が問題になるほどです。

しかし蒸発したタングステン原子がハロゲンサイクルによりガラスバルブへの付着(黒化)が防げるというのは大きなメリットです。ランプが暗くなっていくのを防げるだけでなく、黒化がないのでガラスバルブを耐熱限界まで小さくすることができ,一般電球の約1/50にまで小さくできました。一般電球ではガラスバルブを小さくすると蒸発したタングステンが濃く付着してすぐに黒くなります。この影響を軽減する為にもバルブはできるだけ大きくする必要がありました。

ハロゲンランプが小さい事そのものも大きなメリットですが、小さなガラスバルブは大きな封入ガス圧に耐えるので、ハロゲンランプは点灯中は数気圧から20気圧近い圧力となるように設計されています。一般電球は点灯中に大気圧(1気圧)程度になるように設計します。従ってその圧力差は10倍以上にもなります。

この封入ガス(主に不活性ガス)の高圧封入によりフィラメントの蒸発を抑える事ができ、一般電球の2倍以上の寿命を獲得しました。またガラスバルブ内容積が小さいことは封入用不活性ガスとして高性能だけれども非常に高価なガス(クリプトンやキセノン)を経済的に使用可能とし、これによる特性改善も大きなものがあります。

可視光を増やして発光効率を上げる試みとして、赤外線反射膜をガラスバルブにコーティングする、という事も行われています。この赤外線反射膜は照明にとっては不要な赤外線を反射してフィラメントに戻すことにより、熱ロスを減少させ、発光効率を向上させるものです。

この方法が有効なのも、バルブが小さいためといえます。大きなバルブだと余程高精度に作り込まないと効果はでません。ただしこれによる発光効率の向上は実際には7%~12%程度が見込める程度です。宣伝文句によくある数十%UPとか2倍とかは絶対に無理です。

またハロゲンランプは「寿命が3倍以上で、明るさが2割以上UP」などとコマーシャルされている場合がありますが、正確には「明るさが同じなら寿命が3倍以上、又は寿命が同じならば明るさが2割以上UP」です。ハロゲンランプも一般電球も明るくすれば寿命が犠牲になる、という関係にあります。ハロゲンランプは電球の画期的な改良技術ですが、画期的なのは小さい事と光束安定性であり、明るさや寿命の改善は画期的というほどでもないです。

ハロゲンランプの光束安定性(使用しているうちに明るさが減衰していく割合)は寿命末期まで5%程度の低下しかなく、これは他の光源(蛍光灯,HIDなど)に比べ約1/10です。

ハロゲンランプは可視光を得る手段としては非常に効率が悪く、どんなに改良しても蛍光灯やHIDランプ,LEDに対抗できるとは思われません。現在のハロゲンランプの発光効率はランプ寿命を2000時間、電力を50w~100wとすれば良くて20Lm/w程度であり、蛍光灯の80Lm/W,HIDランプの80~100Lm/wとは比較の対象になりません。

光束安定性を考慮すれば差は縮まりますが、実際にはハロゲンランプの寿命を蛍光灯並の6000時間とかに設定すれば、発光効率は最高でも16Lm/w程度にしかなりません。

現在はLEDの一般市販品でも蛍光灯並の発光効率(量産品:60~100Lm/w)に達し、近い将来には1灯当たりの光出力が500Lm以上、発光効率も150Lm/w以上が見込まれており、寿命も数万時間のレベルですので、照明用光源の大革命が起こっています。

※Lm/w(ルーメン パー ワット)は発光効率の単位。1w当たり何ルーメンの光束が出せるかという単位。Lm(ルーメン)は光のエネルギーに、その光の波長に対する人の眼の感度を掛けたもの。人の眼の最高感度は約0.5μm(緑色)にあるので、発光効率からだけ言えば、この波長のみ出すのが一番発光効率が良くなる。しかし照明用には白色光でなくてはならず、白色光は0.4~0.8μm程度の範囲にバランス良く(必ずしも連続スペクトルである必要はないが)分布していなくてはならない。そのため発光効率は制限される。前記した各ランプの代表的数値は白色光を前提としたもの。

このようにハロゲンランプは可視光を得る手段としての将来性は疑問です。蛍光灯やHIDだけなら共存できるかもしれませんが、LEDの効率改善と大出力化,低コスト化が進めばこれに置き代わっていき、真空管が半導体に駆逐されたように10~20年後には使われなくなっている可能性があります。特に近年の強い省エネルギー(結果としてのCO2排出削減)ニーズがその方向に強力に推進します。

しかし高温、スポット加熱用としてはハロゲンランプのように手軽にクリーン加熱できる対抗技術があまり存在せず、今後も工業用加熱分野では応用が増加する事が予想されます。⇒レーザ加熱や電磁誘導加熱が高温クリーン加熱分野の一角を占めるでしょうが、それでも過半の用途ではハロゲンランプの方が安全性や手軽さ、効果、コストなどの総合判定で優位であると思われます。

それ以外にも可視光域~赤外域までの幅広い連続スペクトルが必要とされる分野では最適な光源です。また対人間の効果で暖かさを含めた太陽の直射日光に最も近い感触を持つ、手軽に使える光源としてはハロゲンランプだろうと思います。

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