フィラメントコイルについて

フィラメントはタングステン(元素記号W)が使われます。1本の線の状態で使われる事はまず無く、通常はコイル状にします。この理由の1つは使いやすい電圧-電力の範囲に持っていくには電球フィラメントとしての抵抗値をある値(100v100wでは100Ω,200v1000wでは40Ω)にする必要があり、それで計算すると例えば長さが1mとかの長さになります。これでは長すぎるので、コイル巻きにすることにより長さを縮めます。通常のシングルコイルで約1/10の長さになり、ダブルコイル(二重コイルcoiled coil)だと、更にその数分の一の長さになります。

フィラメントの熱損失(放射ではなく、対流,伝導で失われる電気エネルギー)はフィラメントの長さに大きく依存するので、コイルや二重コイルにすることにより、熱損失が大幅に減少し発光効率の向上につながります。

それ以外にもコイルフィラメントの利点は、その柔軟性により熱膨張の影響を自分自身で吸収できる事です。これが1本の直線だと常温ではまっすぐでも、点灯すると熱膨張により大きく曲がってしまいます。

タングステン線径をd,巻径をMDとすれば、MD/d≒3が適正です。MD/d<2では熱膨張で変形しやすく、MD/d>8 では強度が弱くなります。またコイル巻きのピッチをPとすれば、P/d≒1.5が適正です。P/d<1.2 ではピッチ間ショートの危険が出ます。P/d>1.8では熱ロスが大きく発光効率的に不利です。

またコイル巻きにすると、コイルの内側が空洞を形成し、ピッチ間の隙間から出てくる光は一種の空洞放射になり、黒体放射に近くなります。これは照明利用には不利ですが、熱利用には若干有利(平均輝度が上がる)です。この効果はシングルコイルよりもダフルコイルの方が顕著です。しかもダブルコイルは太短いので、ミラー集光用ランプ(点集光)のフィラメントとして適しています。

タングステンの放射特性(分光放射率)は、可視光域で比較的高く、長波長になると放射率が小さくなる傾向が大きいです(ほとんどの金属がそうですが)。そのため、同じ温度ならば黒体(全ての波長域で放射率が100%)よりも発光効率がかなり高くなります。これがタングステンが照明用フィラメント材料として適している理由の1つでもあります。同じ温度でも炭素フィラメントは黒体に近いので発光効率はかなり低くなります。

前記した様にコイル巻きすると、この利点を若干スポイルしますが、他のメリットの方がはるかに大きいので、ほぼ例外なくコイルフィラメントが使われます。

タングステンの電気抵抗温度係数はかなり大きなものです。これは純金属の一般的特性でもあり、タングステンが特別というほどでもないのですが。

タングステンの温度に対する抵抗率の変化は下式て近似できます。

タングステン抵抗率ρ=1.77(T/1000)2+26.52(T/1000)-3.44   [×10-8Ωm]

             ただし T は絶対温度 [K]

これから計算すると分かる通り、電球の点灯中のフィラメント温度(2500~3200K)では比較的高い抵抗率を示しますが、常温では1/10程度の抵抗率にしかなりません。つまりハロゲンランプは常温での抵抗値が極端に小さい事になります。

そのため、常温のランプに通電した瞬間、10倍近い大電流が瞬間的(1/10秒間程度)に流れます(突入電流=ラッシュカレント)。この点灯瞬時の大電流(瞬間的な大電力消費)はハロゲンランプのフィラメント温度上昇を助け、瞬間的に点灯する、という特性に寄与しているというメリットでもありますが、一般的にはスイッチの寿命を縮めたりで不具合の方が多いです。

スローアップ時間 0秒

スローアップ時間 0.5秒

スローアップ時間 1秒

定常状態

この影響を緩和するためにソフトスタート付きの電源を使ったりする場合があります。この電源は電源スイッチONしてもすぐには100%電圧がかからず、1~3秒間程度の時間をかけて電圧をゼロから100%近くまで徐々に上げてくれるので、ラッシュカレントを抑える事ができます。

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