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樹脂加熱の基礎知識-3 樹脂の種類-2 熱硬化性樹脂

樹脂加熱の基礎知識-3 樹脂の種類-2 熱硬化性樹脂

熱硬化性樹脂は、熱硬化性プラスチックともよばれる高分子物質です。
原料を加熱・加圧することにより流動し、製品の形状となります。
構成している単量体(モノマー)の結合が三次元の立体的な網目構造をもったもので、三次元ポリマーまたは架橋ポリマーとも呼ばれています。
三次元立体構造にできあがったものは加熱してももはや液体には戻りません。
これは化学反応して架橋構造になり硬化する化学的変化であるため、硬化したものは、再び加熱しても溶融せず、溶剤にも溶けません。従って、再生はできません。

互いの分子が固い結合によって架橋されているからで、さらに強く加熱するとポリマーの熱分解が起こります。
一般的には溶媒にも溶けませんが、ある種の溶媒では膨潤します。

熱硬化性樹脂の成形

分子量の小さいモノマーや、まだ線状構造で加熱によって溶融する程度のプレポリマーprepolymerを金型の中に入れます。
加熱した型の内部で化学反応をさせ、架橋を完成させて不溶不融性の三次元網目構造を形成します。

熱硬化性樹脂は反応しうる官能基を三つ以上もった多官能性構造単位をもった物質を出発物質としています。
硬化物物性を支配するものに架橋密度があり、この密度が高いほど硬くなり、耐熱性も向上しますが、脆くなります。

製品成型時には、充填剤や補強剤を混合して機械的強度、耐熱性、電気特性などを改良します。
紙・織布・ガラスマットなどに樹脂を含浸して、加圧・加熱して積層板を作ることも広く行われています。
熱硬化性樹脂は硬くて熱や溶剤に強いので、電気部品やテーブルといった家具の表面処理、灰皿、焼き付け塗料などに使用されます。

現場施工

現場で施工するときは低粘度、完成したときは三次元構造、という特性を生かして、塗料、接着剤としても多量に使用されています。
接着剤やパテでA液(基剤)とB液(硬化剤)を混ぜて使うタイプは、
基剤のエポキシ樹脂に、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンを縮合反応させたエポキシ樹脂プレポリマーを使用し、硬化剤にはアミン等を使用しています。
2液を混合すると、グラフト重合が起こり三次元高分子として経時的・熱硬化的に硬化・接着します。

熱硬化樹脂の熱的性質(代表値)

樹脂名 記号 密度 比熱 熱伝導率 熱膨張係数 連続耐熱温度 熱変形温度
基準温度20℃ [g/cm3] [J/g ℃] [W/m K] 10-5/℃ (℃) 18.5Kg/cm²/℃
フェノール樹脂
(ベークライト)
PF 1.37-1.46 1.57-1.76 0.13-0.25 2.5~6 120 115~125
尿素樹脂
(ユリア樹脂)
UF 1.47-1.52 1.68 0.31-0.43 2.2~3.6 90 125~145
メラミン樹脂 MF 1.48 1.68 0.31-0.43 2.9~4.8 110~130 150~166
シリコーン樹脂 SI 0.99-1.5 1.2-1.4 0.15-0.17 8~30 -60~315 広範囲
エポキシ樹脂 EP 1.11-1.40 1.1 0.17-0.22 4.5~6.5 150~200 139~306
ポリウレタン PUR 1.03-1.50 1.9 0.12-0.18 10~20 -20~130 広範囲
不飽和ポリエステル
(アルキド)樹脂
UP 1.04-1.46 1.09-2.30 0.17 5.5~10 130~150 60~204

※シリコン (Silicon) とシリコーン(Silicone)の違いについて
シリコンは、ケイ素のことです。岩石や土壌の主成分として自然界に存在し、地球上で酸素に次いで多く存在します。
シリコーンは、ケイ素樹脂のことです。ケイ素を含む有機化合物の総称で、天然には存在しません。


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