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樹脂加熱の基礎知識-3 樹脂の種類-9 光硬化樹脂

1. 光硬化とは

光は光子という粒子の集まりですが、個々の光子は電磁波の性質を持っています。
光子は固有のエネルギーを持っていて、集まると電磁波と同じように、振動数(ν)に比例し、波長(λ)に反比例します。
各波長にはそれぞれ名前が付けられていて、
0.10 – 0.4 μm帯域は紫外線、0.70 – 1000 μm帯域は赤外線と定義されています。

光硬化樹脂

※紫外線については、弊社のオンラインセミナー「紫外線の科学」をご参照ください。

光子が物質を構成する分子と衝突すると、分子は光子のエネルギーを貰って高エネルギー状態になります。
光子が衝突する前を基底状態、高エネルギー状態のことを、励起状態といいます。
3つの動きのいずれかにより、分子は衝突して与えられたエネルギー(⊿E)を消費して元の基底状態に戻ろうとします。

1つ目は、熱エネルギーとして放出し、これを輻射といいます。
2つ目は、光エネルギーとして放出し、これを発光といいます。
3つ目は、光反応として、分子間の架橋構造を構築するために消費します。

3つ目の架橋構造の構築(=重合)により、液体樹脂や軟質樹脂が硬化します。

紫外線を浴びて硬化する樹脂が「光硬化樹脂」または、「紫外線硬化樹脂」です。
赤外線を浴びて硬化する樹脂は通常「熱硬化樹脂」とされ、通常は光硬化樹脂には含まれません。

2.歯科治療に使用される<コンポジットレジンの組成(主成分)>

BisGMA:2.2-ビス〔4- (2-ヒドロキシー3-メタクリロキシプロポキシ)フェニル〕プロパン
UDMA:ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン

3.フォトリソグラフィー・活版印刷用フォトレジスト

光源波長ベース樹脂
高圧水銀灯g線436nmノボラック樹脂+1.2-ナフトキノンジアジドスルホン酸エステル(NQD)
高圧水銀灯i線365nmポリヒドロキシスチレン(PHS)
KrFエキシマレーザー248nmp-ヒドロキシスチレン(PHS)とtert-ブチルメタクリレートとの共重合体
ArFエキシマレーザー193nm(メタ)アクリル酸エステルポリマー
F2レーザー157nmフッ素系ポリモー・シロキサン系ポリマー
EUV13.6nm研究段階

4.UVオフセット印刷用インキ

UVインキの主成分は、光重合性樹脂、光重合開始剤、着色料および助剤で、原則として有機溶剤は含みません。
反応型インキに分類され、二液反応型インキほどの強力な接着力は持っていません。
UVインキは低粘度のオリゴマー・モノマーなどの反応性希釈剤(レジューサー)により粘度を調整して います。
主成分は、ポリエステルアクリレート系、エポキシアクリレート系、ウレタンアクリレート系などがあります。

5.ジェルネイル

爪に光硬化樹脂を盛りつける装飾法があり、ジェルネイルと呼ばれます。

5-1. 化粧品の法的義務

ジェルネイルは、薬事法上の「化粧品」に当たり、法的な義務が有ります。
お取り扱いには十分ご注意ください。
※アメリカ合衆国で販売するには食品医薬品局(Food and Drug Administration; FDA)の許認可が必要です。
※韓国には化粧品法(화장품법)という単独の法律が有ります。(2000年法律第06025号)
※中華民国台湾では「化粧品原料基準」「化粧品衛生管理条例」の理解と遵守が必要です。

5-1-1. 化粧品の製造許認可

化粧品の製造(包装、充填、表示、保管を含む)を行うためには化粧品製造業許可が必要です。(薬事法第13条1項)
厚生労働大臣が指定した成分を含有する化粧品以外の化粧品については、これを製造販売する際に製造販売届出が必要となります。(薬事法14条の9第1項)
化粧品は、その容器又は包に製造販売業者の氏名又は名称・住所、化粧品の名称、製造番号又は製造記号等、法律に定められている事項が記載されていなければなりません。(薬事法61条)
無許可製造を行ったメーカーの責任者は一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金又はこの両方が科せられる可能性があります。(薬事法第86条1項2号・13条2項)
無許可製造を行ったメーカー自身は一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金又はこの両方が科せられる可能性があります。(薬事法第90条2号・86条1項2号・13条1項)

5-1-2. 化粧品に関する販売許認可

完成した化粧品を市場出荷するためには化粧品製造販売業許可が必要です。(薬事法第12条1項)
無許可販売をした責任者に対して三年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金又はこの両方が科せられる可能性があります。(薬事法第84条2号・12条1項)
無許可販売をした法人に対しては三百万円以下の罰金が科せられる可能性があります。(薬事法第90条2号・84条2号・12条1項)

5-1-3. 化粧品に関する陳列許認可

化粧品は、その容器又は包に製造販売業者の氏名又は名称・住所、化粧品の名称、製造番号又は製造記号等、法律に定められている事項が記載されていなければなりません(薬事法61条)。
違法包装容器を、消費者に対して販売、授与、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵、若しくは陳列することは禁じられております。(薬事法62条・55条1項)
これに違反した場合、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金又はこの両方が科せられる可能性があります。(薬事法85条3号・55条1項、90条2号)

5-2. 成分

ハードジェルもソークオフジェルも基本的にはアクリル系樹脂が主成分です。
分子量・反応点・分子構造の差が製品の差になります。

■ハードジェル

分子の結合面が多く、硬く強い重合体を作ります。
抜群の透明感と強度で親しまれています。
リムーバーでは溶けず、削って落とします。

■ソークオフジェル

分子の結合面が少なく、柔軟性が有り結合力の弱い重合体を作ります。
専用のリムーバーを使用し、ジェルを溶かして落とすことができます。

5-2-1. 主成分

メタクリル酸エステルモノマー
アクリル酸オリゴマー

5-2-2. 光重合開始剤(フォトイニシエーター)

1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン
ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-゙フェニルホスフィンオキサイド
2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパン
2,4-ジエチルチオキサンテン

5-2-3. 溶剤

アセトン
酢酸メチル
イソピロピルアルコール系
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