熱風ヒーターは外部からエアー等の圧縮気体(0.05~0.5気圧程度)を供給し、それを電気加熱して吹き出すヒーターです。
下図はABHシリーズとDGHシリーズの基本構造図です。各種の形状,サイズの品種がありますが、基本構造はほとんど同じです。他にも白金発熱体を使ったPTHHシリーズがあります。
1-1.ABHシリーズの熱風ヒーター (標準的な熱風ヒーター)
- 熱風吹出口
- アダプター取付用内ネジ
- 吹出口熱電対:K・R型
- 発熱管:SUS304
- 加熱管:石英ガラス
- 発熱体:鉄・クロム・アルミ合金
- 空焚・過昇温監視用、発熱体熱電対:K・R型
- 絶縁管:アルミナセラミックス
- 発熱管ベース:ステアタイト
- 絶縁体:シリコンゴム
- ヒーター電源線:フッ素樹脂FEP被覆、又は、ガラスクロス
- 吹出口熱電対補償導線:フッ素樹脂FEP被覆、又は、ガラスクロス
- 発熱体熱電対補償導線:フッ素樹脂FEP被覆、又は、ガラスクロス
- 気体供給金具:黄銅ニッケルメッキ
- 気体供給口
ABHシリーズ 熱風ヒーターの特徴
ABHシリーズは発熱体と加熱気体が直接接触します。外径はコンパクトですが高密度発熱体により、その表面積は非常に大きく、加熱気体温度と発熱体温度の差は300℃程度と非常に熱伝達効率が良いものです。そのため通過気体を約1000℃まで加熱できます。
内蔵温度センサーの精度について
内蔵する熱風温度センサー(オプション)ですが、これは熱風温度の基準として使えるほどの精度はありません。熱風温度の設定は別の基準温度計により行い、そのときの内蔵センサーの温度を運用する場合の基準としてご使用ください。温度の再現性は比較的良好ですので、運用基準としては使用可能と思います。従ってヒーターを交換した場合などは基準温度計による運用温度の再設定が必ず必要になります。
内蔵温度センサーの寿命について
温度センサーとして通常はK熱電対を使用します。しかしヒーターのサイズによっては十分な太さの熱電対が使えません。金属ケースがφ13のタイプでは素線径がφ1.0,金属ケースがφ8のタイプではφ0.5のものしか使えません。
温度センサーは発熱体の中央を通る構造のため、発熱体とほぼ同じ温度にさらされる事になります。それでも多くの場合は熱電対の寿命が問題になることはございませんが、ABHヒーターを特に高温でご使用になる場合には内蔵温度センサーの寿命が不十分になる場合があります。このような場合には内蔵温度センサーをRタイプ(白金系)でご指定ください。型番に追加するオプション記号は /+S(R) です。