2-3.ガスボンベ

ボンベ(ドイツ語:Bombe)とは、気体や液体を貯蔵、運搬する際に用いられる完全密閉が可能な容器のことです。
目的によっては、可搬式高圧ガス容器、設備用高圧容器などと呼ばれて区別されます。
内部は高圧になるので、鋼などの金属により丈夫に作られています。
内容物の取り出し口は目的に応じたバルブが取り付けられています。

ガスボンベ

2-3-1 種類

2-3-1-1 継ぎ目なし容器

 圧縮、液化したガス、または液体を貯蔵するボンベ。高い内圧に耐えられるよう、マンガン鋼、クロムモリブデン鋼などにより一体成型により作られています。
小型のものはアルミニウム合金製もあります。
中型(内容量40~47リットル)のものは40~60kgの重さになります。
高い内圧に耐えられるよう外形は概ね回転体で、カプセル型または砲弾型をしています。
産業用の主な充填物は、窒素、酸素、アルゴン、水素、ヘリウム、空気、液化炭酸ガスです。

2-3-1-2 溶接容器

 主として液化したガスを貯蔵するボンベです。
形状はカプセル型を基調としています。材質は主に鋼板で、筒状に巻いた鋼板の上下に半球状または皿状に整形した天頂部と基底部を溶接していま。また、立てて使用する物では、基底部にスカート状の台座と、上部にバルブを保護するための保護部品が取り付けられています。主な充填物は、液化石油ガス(LPG)、液化ブタン、溶解アセチレン、液化アンモニア。

2-3-1-3 クリーンボンベ

 半導体の製造など高純度の物質を扱う場合に用いられます。
内部に研磨加工を施し、内容物の純度を保つように設計されたボンベです。

2-3-1-4 エアボンベ

 噴霧器に接続して塗料などを散布する際に用いられ、空気を充填したボンベです。

2-3-1-5 カセットボンベ

 燃料用の液化ブタンを入れた小型のボンベです。カセットボンベを燃料源とする焜炉をカセットコンロと呼びます。

2-3-2 塗装色による内容物の区別

日本国において気体用のボンベは、容器保安規則(昭和41年5月25日通商産業省令第50号)により、内容物によって本体の塗装色が定められています。

二酸化炭素(炭酸ガス)…緑色
 酸素…黒色
 塩素…黄色
 水素…赤色
 アンモニア…白色
 アセチレン…褐色
 その他の種類…ねずみ色

 
LPGは規制緩和によりこの規程によりません(ただし上記の色は使えない)が、規定された当時のボンベはねずみ色であり、現在でも規定当時に製造されたねずみ色のボンベが数多く流通しています。
 
内容物が劇物、毒物、可燃物の場合には、さらにその旨をボンベに記載すると同時に所有者をボンベに記載しなければなりません。また文字の色が定められています(アンモニアは赤文字、それ以外は白文字)。厳密には、油性マーカーなどの黒色で所有者を書くのは違法となる可能性もあります。

2-3-3 可搬式高圧ガス容器のバルブ

ボンベに取り付けられたバルブは、その内容物(ガス種)により方式が異なります。工業用(医療用を含む)では、酸素、窒素、アルゴン、炭酸ガス、水素、ヘリウムの場合、ほぼ同様の形式です。 ただし、販売店により口金の様式に異なるものもあります。

●口金に外ねじを切ったG式
●内ねじを切ったF式

他に
●ヘリウムと可燃ガスは逆ねじ(左ねじ)が切ってある。
●アセチレンボンベのバルブの口金にはねじは切っておらずパッキンが付けられている(接続金具側にシャコ万が付いていて締め付けるようになっている)。

 
接続のしやすさでは内ねじF式(通称関西型)が良いとされるますが、当たり面に傷が付くとガス漏れを起こし、調整器の向き合わせにコツが必要なことが欠点です。むしろ内ねじに雄ねじが両方に切ってあるオンソケットをねじ込み外ねじ用調整器を装着してあるほうが便利という意見もあります(小型ボンベの場合は外ねじのため器具を兼用できる上、傷付きなどの補修もパッキンあるいはオンソケットの交換で済むため)。
 
なお高純度品および医療用ガスはすべて外ねじあるいは特殊なワンタッチ式であり、内ねじ式は金属擦り合わせによる異物混入の恐れがあるため使われません。

2-3-4 使用後の処理

高圧ガス容器は定期検査が義務付けられており、検査期限を過ぎたボンベにはガスの充填が禁止されています。
(検査期限は検査刻印で識別できます)

単体式の可搬式高圧ガス容器の多くはその所有権がガス販売店に属するため、使用者が買い取っていないボンベは使用後、販売店に返却することになります。

 高圧ガス容器は内部に空気が侵入することを防ぐため、完全に使い切る前にある程度の内圧を残した状態で使い終わると次回の充填がスムーズです。

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