光の反射、透過、吸収、放射について

光の反射、透過、吸収

上図の様に物体に入射した光は一部が反射され,一部が透過し、一部が吸収されます。

反射光の割合がA%とすれば、この物体の反射率はA%となります。同様に透過率はB%,吸収率はC%です。

ここでA+B+Cは必ず100%になります。

これはエネルギー保存則(後で解説)の通りで、エネルギーは形はかえても、その量は増えも減りもしないという事で、入射光のエネルギーは(透過光エネルギー+反射光エネルギー+吸収されたエネルギー)になるという事です。

また放射率と言われるものがあります。これは物体がある温度になったときに、そこから光(マイクロ波~赤外線~可視光域が主)の形でエネルギーが放射されますが、この放射度合いの数値です。最も放熱し易い仮想物体が黒体で、全ての波長で放射率が100%です。現実には存在しません。

重要な点は必ず「吸収率=放射率」の関係になることです。吸収しやすいほど放射もしやすく、吸収率がゼロであれば放射による放熱もできません。

正確にはこの関係はある波長についてのみ成り立ちます。ガラスは可視光域の透過率が100%に近く、吸収率はゼロに近いのですが、赤外域(約3μm以上)では透過率がほぼゼロになり、ほぼ完全な吸収体になります。温室はこの性質を利用したもので、太陽光は殆どガラスを透過して温室内に入り込み、そこで熱になって室内を温めます。温まった室内からは長波長の赤外域放射で放熱しようとしますが、その波長域ではガラスの透過率がゼロであり、このガラスの断熱性能がよければ(ペアガラスなど)熱が外部に直接出ていくことが出来ず、温室内に熱が留まります。

余談ですが、上記の話はウソではないものの正確ではありません。「地球の温室効果問題」は、地球の大気が上記ガラスと同じ効果をもつことにより、地球の地表温度が高くなる現象です。しかし温室が外気温よりも高くなるメカニズムは太陽直射光が温室の窓ガラス(又はビニール)を透過して室内を温める、までは正しいですが、室内が温まって、そこからの再放射で熱が逃げるのをガラスが止める、というのは熱量の割合的にはわずかです。現実には温まった空気をガラスやビニールで包み込むことにより外に逃げないというのが主要な理由で温室内の温度が上がります。だから一般の温室はペアガラスまでは使わない場合がほとんどですが、それなりに温室としての効果はでます。「地球の温室効果」とは言葉は同じでも主要なメカニズムが少し違います。

放射(吸収)特性ですが、同じガラスでも温度によって特性が変化します。常温では可視光域は透明なのですが、軟化温度(1200℃程度)になると不透明に近くなり、黄色く光る様になります。石英ガラスの場合、この温度ではまだ透明なので可視光放射率もゼロとなり、光りません。ただし赤外域では不透明なので、赤外放射はします。石英ガラスも1700℃付近から可視光域でも吸収率(=放射率)が高くなっていくので、まぶしい白色光で光りはじめます。温度が2000℃程度のはずなのに太陽光(6000K)よりも白っぽく感じますので、赤色付近の放射率が低いのだと推定します。

電磁波波長と物質の放射率

〔図-2〕は金属と非金属(セラミック,プラスチック等)の放射率(=吸収率)の波長に対する傾向を示したものです。これは一般的傾向であり、個々の物質によって値は大幅に異なります。

金属は波長が長くなるほど吸収率が低下するので、遠赤ヒーターでの加熱には適しません。可視光に近い波長での加熱に適していますから、ハロゲンランプヒーター(ピーク波長は約1μm)が最適です。それでも金属材料によっては加熱不可能に近い金属もあります。例えば銅やアルミなどは可視~近赤外域でも反射率が高く、おまけに熱伝導もよいので加熱困難です。ただしこれらも表面状態によっては加熱できます。(酸化変色しているとか細かい凹凸があるなど)

非金属(セラミック、プラスチック、紙、木、人体等)は一般的に上図の様に遠赤外域で放射率(=吸収率)が高くなりますので、遠赤ヒータが適しています。ただし遠赤ヒータでは高温にはできませんので、このような対象物でも急速に高温にしたい場合などはハロゲンランプヒータの方が適しています。

放射率(=吸収率)は100%以上はありえません(どの波長に対しても)。仮想的な物体である「黒体」がすべての波長域で100%であり、これにかなり近いのは粉末状カーボン(95~98%)あたりです。

人体も体温で放射する遠赤外波長域(約10μm)に対しては放射率95%以上であり、極めて高いものです。もっともこの波長域では金属を除くと一般に放射率は高いですが。

ある物体がある温度になるとプランクやステファンボルツマンの式で表されるように放射という形でエネルギーが放出されます。しかし熱エネルギーが移動するのは温度差があって初めて起こります。例えば人体は非常に良い放射体ですが、周囲に対して放熱できるのは、周囲温度が体温より低い場合だけです。周囲との温度差があってはじめて放射率にそった放熱(熱移動)が起こり「涼しい」と感じます。(この場合、放射による放熱よりも対流や風による放熱の方が割合が高いのですが、ここではそれには触れません)

周囲温度と体温が同じの場合放熱出来ないというのは、温度差が無いと放射による放熱が起こらないと言ってもよいですが、周囲に対して放射したエネルギーと同じだけのエネルギーを周囲から受け取るから差引ゼロで熱移動が無いとも言えます。(後者の方が正確)

このように考えれば、どんな低温の物体からもその温度に応じた温度放射があるはずなのになぜ温かくないのか?という疑問もなくなると思います。たしかにある温度を持つ物体からは、それに応じた放射エネルギーを受けとるのですが、同時に自分からもその物体に対して自分の温度に応じた熱放射をする。自分の方が相手より温度が高ければ渡す方が多いので自分のエネルギーが減って冷たく感じる。相手の温度が自分より高ければ受けとる方が多くなり、熱エネルギーが増えて温かく感じる、という事です。この際、相手側の放射率(=吸収率)が高いと熱移動が早くなります。

ここで「自分」と表現しているのは、人体に例えると分かりやすい為そうしただけであり、どんなものに置き替えても同じことがいえます。「温かく感じる」を温度が上昇する、「冷たく(涼しく)感じる」を温度が低下する、と読み替えて下さい。

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