温度放射の波長について

ヒーターから主に近赤外線が出るか、遠赤外線が出るかは、その素材ではなく発熱体の温度でほぼ決まります。放射される電磁波のピーク波長λmは発熱体の温度をT℃とすれば

ピーク波長 λm= 2896/(T+273) μm  ウィーンの式

上記の式より各温度での放射波長のピークを求めると〔図-5〕の様になります。この放射波長をピークとして短波長側にも長波長側にも幅広く分布します。短波長側はピーク波長の1/3程度までですが、長波長側は5倍程度まで出ています。もちろんプランクの式を見れば分かるように実際にはもっと広い範囲で分布していますが、数値が極端に小さくなるので、ほとんど意味はありません。有効なのはピーク波長の 0.5~3倍程度でしょう。→下図参照
発熱体温度と放射波長のピーク値の関係

温度放射強度と波長分布

上図の温度単位[K]は絶対温度。これから273を引くと摂氏[℃]になります。300[K]のグラフが常温27℃であり、人体からの放射(体温)はこれに近い。3000[K]のグラフがハロゲンランプの放射に相当します。

放射強度は対数目盛なのでピーク位置より1目盛下がると1/10になり、2目盛下では1/100になります。従って実質的に意味のある放射範囲はピークから1目盛下程度までの範囲です。

上図から解る様に高温度の発熱体から長波長の放射が無いわけではありません。むしろ長波長の放射も高温ほど多くなります。ただ割合が少ないだけです。

放射強度が上図グラフの値を超える事はあり得ません。すべての波長域で放射率が100%の時(黒体)で上図の値となり、現実の物質は放射率が必ず100%未満なので、上図グラフよりも全ての波長で低くなります。また現実の物質は放射率の波長依存が一定ではないので、上図グラフの山の形と全く相似形というわけでもないですが、基本的にはほぼ上図グラフの形となり、物体の組成などによる差は僅かです。

上記した「温度放射強度と波長分布」は以下で説明するように「プランクの法則」により求められますが、計算はかなり面倒なので実用上は上記グラフを利用するだけでもよいと思います。

黒体における単位面積・単位波長あたりの放射エネルギー密度 W (λ,T)は

   W(λ,T) = 8πhc/λ5/( exp( hc/λkT ) -1)  [w/m2]

   λ:波長  [m]
   T:黒体の温度  [K]    c:光速 3×108 [m/s]    k:ボルツマン定数1.3807×10-23 [J/K]    h:プランク定数 6.626×10-34   [J・s]

   上式をC1,C2を使ってまとめると

   W(λ,T) =C1/λ5 /(exp(C2/λ/T)-1)    [w/m2]

   C1(放射第一定数)=2πhc2=3.7427×10-16 [W・m2]    C2(放射第二定数)=hc/k=0.014388 [m・k]

   光子(フォトン)1個のエネルギーはpe=hν=hc/λ
   1 /( exp( hc/λkT ) – 1 )は平均光子数

以下は「温度放射強度と波長分布」のもう少し細かく見やすい資料です。放射強度の単位が先の資料とは違い、単位立体角当たりの放射[w/cm^2/sr/μm]になっていますので、平面からの総放射に直すには×2πする必要があります。
可視光は約 0.4~0.8μmの範囲です。約 0.4μm以下を紫外線と呼び、0.8μm以上を赤外線と呼んでいます。約 4μm以上を遠赤外線、それ以下を近赤外線と分類する場合がありますが、この分類にさほど大した意味はありません。光が熱に変わるメカニズムも同じです。赤外線には熱に変わる事以外の働きは全くありません。
光(電磁波)の波長

可視光は約 0.4~0.8μmの範囲です。約 0.4μm以下を紫外線と呼び、0.8μm以上を赤外線と呼んでいます。約 4μm以上を遠赤外線、それ以下を近赤外線と分類する場合がありますが、この分類にさほど大した意味はありません。光が熱に変わるメカニズムも同じです。赤外線には熱に変わる事以外の働きは全くありません。

ハロゲンランプヒータの放射特性(赤線グラフは比較のための2600K黒体放射)
ハロゲンランプヒータの放射特性

※ハロゲンランプの放射特性(計算予想値)グラフの赤線は2600Kの黒体放射です。温度1は3200Kのハロゲンランプ(寿命200時間)のものです。
 温度2は2900K(寿命2000時間)のものです。温度3は2600K(寿命5000時間以上)のものです。これらは黒体放射にタングステンの放射率特性と石英ガラスバルブの透過特性を反映させたものです。主にタングステン(発光体材料)の放射率特性により同温度の黒体放射よりも総放射で1/3以下となります。

 また長波長ほど放射率が下がるというタングステンの特性と、約 4μm以上の波長を透さないという石英ガラスの特性により、4μm以上の波長はほぼゼロとなっています。

黒体放射
黒体放射
下図は光学材料やシリコン,ゲルマニウムの分光透過特性です。
石英ガラスでも透過率は93%程度ですが、これは反射が7%ほどあるためです。石英ガラスは可視光域での吸収はほとんどありません。他の材料も7%程度は反射分がありますので、吸収率はそれを差し引いて考える必要があります。純粋な石英は通信用光ファイバーとして使われています。これは数十kmも光信号を送れるほど完全に近い透明体です。

光学材料やシリコン、ゲルマニウムの分光透過特性

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