1-2.銅管

気体配管入門

1-2-1 概要

銅管(どうかん)とは、銅および銅合金でできた金属管です。

●長所

  • 柔らかく配管加工がしやすい
  • 10mの長尺でも、巻いて搬送や施工ができる。
  • 軽量

●短所

  • 鉄管に比べると高価
  • 錆びやすい

 

1-2-2 JIS H 3300 銅及び銅合金の継目無管

Copper and copper alloy seamless pipes and tubes

展伸加工した断面が丸形の銅及び銅合金継目無管について。
適用範囲、引用規格、種類、等級及びその記号、品質(外観、化学成分、機械的性質及び物理的性質の試験項目、機械的性質、結晶粒度、押広げ性、へん平性、非破壊検査特性、導電率、水素脆性、時期割れ性、浸出性能)、寸法及びその許容差、試験、検査、表示など。
銅及び銅合金の継目無管には、以下の種類があり、その記号の種類や等級、特性及び用途例は以下の通り。

無酸素銅継目無管(合金番号:C1020)

記号:
C1020T(普通級)/C1020TS(特殊級)
特性及び用途例:
電気・熱の伝導性、展延性・絞り加工性に優れ、溶接性・耐食性・耐候性がよい。
還元性雰囲気中で高温に加熱しても水素ぜい化を起こさない。
熱交換器用、電気用、化学工業用など。
タフピッチ銅継目無管(合金番号:C1100)

記号:
C1100T(普通級)/C1100TS(特殊級)
特性及び用途例:
電気・熱の伝導性に優れ、絞り性・耐食性・耐候性がよい。電気部品用など。
りん脱酸銅継目無管(合金番号:C1201、C1220)

記号:
C1201T(普通級)/C1201TS(特殊級)
C1220T(普通級)/C1220TS(特殊級)
特性及び用途例:
押広げ性・曲げ性・絞り加工性・溶接性・耐食性・耐候性・熱伝導性がよい。
C1220は、還元性雰囲気中で高温に加熱しても水素脆化を起こすおそれがない。
C1201は、C1220より電気の導電性はよい。熱交換器用、化学工業用、ガス用など。
ただし、C1220については、水道用及び給湯用にも使用可能。

丹銅継目無管(合金番号:C2200、C2300)

記号:
C2200T(普通級)/C2200TS(特殊級)
C2300T(普通級)/C2300TS(特殊級)
特性及び用途例:
色沢が美しく、押広げ性・曲げ性・絞り性・耐候性がよい。
化粧品ケース用、給排水管用、継手など。

黄銅継目無管(合金番号:C2600、C2700、C2800)

記号:
C2600T(普通級)/C2600TS(特殊級)
C2700T(普通級)/C2700TS(特殊級)
C2800T(普通級)/C2800TS(特殊級)
特性及び用途例:
押広げ性・曲げ性・絞り性・めっき性がよい。
熱交換器、カーテンレール、衛生管、諸機器部品、アンテナなど。
C2800は、強度が高い。精糖用、船舶用、諸機器部品用など。

復水器用黄銅継目無管(合金番号:C4430、C6870、C6871、C6872)

記号:
C4430T(普通級)/C4430TS(特殊級)
C6870T(普通級)/C6870TS(特殊級)
C6871T(普通級)/C6871TS(特殊級)
C6872T(普通級)/C6872TS(特殊級)
特性及び用途例:
耐食性がよく、特にC6870・C6871及びC6872は、耐海水性がよい。
火力・原子力発電用復水器用、船舶用復水器用、給水加熱器用、蒸留器用、油冷却器用、造水装置などの熱交換器用など。

復水器用白銅継目無管(合金番号:C7060、C7100、C7150、C7164)

記号:
C7060T(普通級)/C7060TS(特殊級)
C7100T(普通級)/C7100TS(特殊級)
C7150T(普通級)/C7150TS(特殊級)
C7164T(普通級)/C7164TS(特殊級)
特性及び用途例:
耐食性がよく、特に耐海水性がよく、比較的高温の使用に適する。
船舶用復水器用、給水加熱器用、化学工業用、造水装置用など。

備考:
導電用のものは、上記の記号の後に”C”を付ける。

圧力容器用銅合金管には、以下の合金番号の銅合金が用いられる。
C2800(質別:O) 記号:C2800T-O、C2800TS-O
C4430(質別:O) 記号:C4430T-O、C4430TS-O
C7060(質別:O) 記号:C7060T-O、C7060TS-O
C7150(質別:O) 記号:C7150T-O、C7150TS-O
合金番号C1220(りん脱酸銅継目無管)の管を水道用配管に用いる場合の浸出性能は以下とする。
・濁度:2度以下
・色度:5度以下
・臭気:異常が無いこと
・味:異常がないこと
銅の溶出量:1.0mg/L 以下
※上記はいずれも常温での試験値。
熱交換器用銅合金管には、以下の合金番号の銅合金が用いられる。
C4430・C6870・C6871・C6872・C7060・C7100・C7150・C7164

 

1-2-3 JIS H 3320 銅及び銅合金の溶接管

Copper and copper alloy welded pipes and tubes

JIS H 3100(銅及び銅合金の板並びに条)に規定する合金番号C1220・C2600・CC2680・C4430・C4450・C7060・C7150の条を、高周波誘導加熱溶接した銅及び銅合金の溶接管について。
適用範囲、引用規格、種類、等級及びその記号、品質(外観、化学成分、機械的性質及び物理的性質の試験項目、機械的性質、結晶粒度、押広げ性、へん平性、非破壊検査特性、時期割れ性)、寸法及びその許容差、試験、検査、表示など。
銅及び銅合金の溶接管には、以下の種類があり、その記号の種類や等級、特性及び用途例は以下の通り。

りん脱酸銅溶接管(合金番号:C1220)

記号:
C1220TW(普通級)/C1220TWS(特殊級)
特性及び用途例:
押広げ性・曲げ性・絞り性・溶接性・耐食性・熱伝導性がよい。
還元性雰囲気中で高温に加熱しても水素脆化を起こすおそれがない。
熱交換器用、化学工業用、給水・給湯用、ガス管用など。
ただし、C1220については、水道用及び給湯用にも使用可能。

黄銅溶接管(合金番号:C2600、C2680)

記号:
C2600TW(普通級)/C2600TWS(特殊級)
C2680TW(普通級)/C2680TWS(特殊級)
特性及び用途例:
押広げ性・曲げ性・絞り性・めっき性がよい。
熱交換器用、カーテンレール用、衛生管用、諸機器部品用、アンテナ用など。

りん入りアドミラルティ黄銅溶接管(合金番号:C4450)

記号:
C4450TW(普通級)/C4450TWS(特殊級)
特性及び用途例:
耐食性がよい。ガス管用など。
白銅溶接管(合金番号:C7060、C7150)

記号:
C7060TW(普通級)/C7060TWS(特殊級)
C7150TW(普通級)/C7150TWS(特殊級)
特性及び用途例:
耐食性、特に耐海水性がよく、比較的高温の使用に適する。
楽器用、建築用、装飾用、熱交換器用など。

備考:
導電用のものは、上記の記号の後に”C”を付ける。

JIS H 3330 外面被覆銅管

Plastic covered copper tubes

使用圧力1.0MPa以下の給水、給湯、排水、空調用冷温水の配管及びその他の配管に用いる外面に合成樹脂を被覆した継目無銅管について。
適用範囲、引用規格、定義、種類及びその記号、性能(化学成分、引張強さ、押広げ性、耐圧性能、浸出性能、曲げ性)、外観及び形状、寸法及びその許容差、材料、製造方法、試験、検査、表示など。
定義:
この規格で用いる主な用語の定義は、次による。

使用圧力

通常の使用状態における水圧力であって、”最高使用圧力(静水圧)”。

原管

外面に被覆する以前の銅管。

被覆銅管

  1. 被覆材料種類:P
    原管外面に低発泡ポリエチレン及びポリエチレンを押出成形によって被覆した銅管。
  2. 被覆材料種類:V
    原管外面に塩化ビニルコンパウンドを押出成形によって被覆した銅管。

外面被覆銅管には、以下の種類があり、その記号と種類は以下の通り。

P : 軟質(O)(記号:P-O-M)
P : 硬質(H)(記号:P-H-M)
V : 軟質(O)(記号:V-O-M)
V : 硬質(H)(記号:V-H-M)

外面被覆銅管の原管及び被覆銅管の材料:
原管は、JIS H 3300(銅及び銅合金の継目無管)のC1220(リン脱酸銅)に規定するものとする。
被覆銅管の外面被覆用樹脂は、吸水性がほとんどなく、土壌腐食に耐える低発泡ポリエチレン(発泡倍率約2倍)及びポリエチレン又は塩化ビニルコンパウンドを使用する。
外面被覆銅管の製造方法:
原管は、JIS H 3300(銅及び銅合金の継目無管)のC1220(リン脱酸銅)の鋳塊を用いて継目無く製造する。
被覆銅管の外面被覆用樹脂は、原管の外面に押出成形機によって溶融混練した樹脂を継目無く被覆する。
Pは、低発泡ポリエチレンとポリエチレンを押出成形によって被覆する。
Vは、原管外面と接する部分が凹凸のある形状で、塩化ビニルコンパウンドを押出成形によって被覆する。

 

1-2-4 JIS H 3510 電子管用無酸素銅の板,条,継目無管,棒及び線

Oxygen free copper sheets, plates, strips, seamless pipes and tubes, rods, bars and wires for electron devices

展伸加工した電子管用無酸素銅の板、条、継目無銅管、棒及び線について。
適用範囲、引用規格、種類及び記号、品質(外観、化学成分、機械的性質及びその他の特性の試験項目、板及び条の機械的性質、結晶粒度及び導電率、管の機械的性質及び導電率、棒の機械的性質及び導電率、線の機械的性質及び導電率、水素ぜい性、酸化膜のはく離性)、寸法の許容差、試験、検査、表示など。
電子管用無酸素銅の板,条,継目無管,棒及び線には、以下の種類があり、その記号と種類は以下の通り。

C1011P : 板
C1011R : 条
C1011T : 管(普通級)
C1011TS : 管(特殊級)
C1011BE : 棒(押出)
C1011BD : 棒(引抜)
C1011W : 線

JIS S 3028 石油燃焼機器用銅製送油管

Oil discharge copper pipe for oil burning appliances

灯油、軽油又は重油を燃料とする石油燃焼機器と JIS S 3020(石油燃焼機器用油タンク)、JIS S 3026(石油燃焼機器用灯油供給器)などとを接続し、燃料供給に用いる銅製送油管について。
適用範囲、引用規格、種類、品質性能、構造、形状・寸法、材料、外観、試験方法、検査、表示など。
石油燃焼機器用銅製送油管の種類は、銅パイプと管継手の結合方式によって分け、以下の通りとする。

フレア式

管の端部を円すい状に広げて接続する結合方式。

くい込み式

金属又は耐油性のあるゴム若しくはプラスチック製のスリーブ又はOリングを管の端部にくい込ませて接続する結合方式。

銅パイプ及び管継手の材料は、次の規定を満足しなければならない。

  1. 銅パイプの材料は、JIS H 3300(銅及び銅合金の継目無管)に適合したものでなければならない。
  2. 管継手の材料は、JIS H 3250(銅及び銅合金の棒)又はこれらと同等以上の機械的性質のある金属製でなければならない
  3. スリーブの材料は、JIS H 3250(銅及び銅合金の棒)又はこれらと同等以上の機械的性質のあるもの、若しくは耐油性のあるゴム又はプラスチックを使用しなければならない。
  4. Oリングの材料は、JIS B 2401(Oリング)又はこれらと同等以上の機械的性質のあるもので、耐油性のあるゴム等を使用しなければならない。
【参考】 日本伸銅協会技術標準(JBMA 又は JCBA)一覧

日本伸銅協会(JCBA:Japan Copper and Brass Association)からは、銅及び銅合金(伸銅品)に関して、以下の技術標準が発行されています。

【日本伸銅協会技術標準の記号番号と名称】

JBMA T 001 「日本伸銅協会技術標準」標準化の一般規定
JBMA T 203 水道用ミリサイズ銅管
JCBA T 204 鉛レス快削黄銅棒
JBMA T 301 銅合金展伸材のアンモニア試験方法
JBMA T 302 共同購入ビッカ-ス硬さ基準片
JBMA T 303 黄銅材の脱亜鉛腐食試験方法
JBMA T 304 銅及び銅合金条のスリット歪み測定方法
JBMA T 305 銅合金丸棒の残留応力測定方法
JCBA T 306 銅及び銅合金管の残留応力測定方法
JCBA T 307 銅及び銅合金薄板条の曲げ加工性評価
JCBA T 308 銅及び銅合金薄板条の疲労特性試験方法
JCBA T 309 銅及び銅合金薄板条の曲げによる応力緩和試験方法
JCBA T 310 銅及び銅合金薄板条のせん断試験方法
JCBA T 311 銅及び銅合金板の動摩擦係数測定方法
JCBA T 312 銅及び銅合金板条の片持ち梁による曲げたわみ係数測定方法
JCBA T 313 銅及び銅合金板条の低温/高温引張特性試験方法
JCBA T 314 銅及び銅合金板条の加工硬化特性試験
JCBA T 315 銅及び銅合金板条の軟化特性試験
JCBA T 316 銅及び銅合金の端伸び歪み試験方法
JCBA T 317 すずめっき付き銅及び銅合金条のめっきの耐熱剥離性試験方法
JCBA T 318 銅及び銅合金条の曲がり測定方法
JCBA T 319 エリクセン試験A方法
JCBA T 320 銅及び銅合金の条のクロスボウ測定方法
JCBA T 321 リフロ-すずめっき付き銅及び銅合金板条のめっき厚さ試験方法
JBMA T 407 銀入銅中の銀定量方法
JBMA T 408 銅合金中のマグネシウム定量方法
JBMA T 409 銅合金中のテルル定量方法
JBMA T 602 分析用標準試料調製手順
JBMA T 901 銅及び銅合金展伸材の平均的密度表
JCBA T 902 伸銅品用語

備考:

2001年4月付けで、日本伸銅協会と全国伸銅工業組合が統合され、新生 日本伸銅協会(英文名:Japan Copper and Brass Association)となったときに略号としてJCBAが採用されています。
従来のJBMAは一般的に広まった規格記号と認識されているので変更されていません。
新たに制定するものからJCBAが使用されることとなっています。

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