1-8.フランジ

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各種流体機器を接続するときに、「フランジ」という言葉が出てきます。

それでは、「フランジ」とはいったい何でしょうか?

「フランジ」とは、円筒形あるいは部材からはみ出すように出っ張った部分のことです。

一般には、下図のようにボルトで接続します。

フランジ

何故「フランジ」を使うのでしょうか?

1.工具が小さくて済む

フランジは小型のボルトを多数個使って接続するので、小型のボルトを締め込む工具で締結できます。

もし、ねじ込み型で接続しようとすると、大きな工具が必要になります。

JIS B 1181-1995 で規定された六角ナットの寸法はねじ径の1.5~1.6倍です。

ナットの呼び径対角寸法
M1016
M2030
M3046

直径100mmのパイプをねじ込みしようとすると、対角は150~160以上必要となり、大型で高価な工具が必要となります。

2.小さな力で作業が出来る

工具が小さければ、小さな力で作業が出来ます。
人力で作業が出来れば簡単です。

3.作業空間が狭くて済む

既存の設備の改造などで周囲に障害物が有る場合、作業空間が狭いことが必須条件になります。

4.ねじ込み方式と比較して、脱着時のねじのオーバーラップする余長が不要

締結用のボルトを全部外すと、そのまま脱着出来ます。
配管が完成して余長が取れない場所に適しています。

5.溶接方式と比較して、脱着が簡単

簡単な工具だけで、脱着や交換が出来ます。

6.溶接方式と比較して、火を使わないので安全

化学プラントのような防爆を求められる場所で、無火気で安全に脱着や交換が出来ます。

7.溶接方式と比較して、配管内部がきれい

配管内にカスが残らずポンプや流量計の噛み込みの原因になりません

「フランジ」の短所

1.「フランジ」の名の通り、配管途中に出っ張りが有ります

この出っ張りが時としてジャマになります。

2.フランジは金属で出来て居るので、閉め込んでも微妙な隙間が残ります

その隙間を塞ぐために、ガスケットやパッキンなどのシール材が必要です。
   
次項でそれぞれのフランジを詳しく見ていきましょう。

パイプの外径が小さい場合にはフレア式やリング式と呼ばれる特殊なナットで締め付ける方法が採用されることが多くあります。外径約9.5mmで、それに使用するナットの対面幅は22mmとパイプの外径の2倍以上です。このような細いパイプであれば小さな工具で締め付けできるが、太いパイプになればなるほど大きな工具が必要となり、施工時および保守時の作業性が悪化してしまうだけでなく、道路を掘っての上水道・下水道などの工事では作業場所を確保するためにより大きく掘る必要が生じてしまいます。そのような場合にフランジを用いれば締結箇所が増える難点はあるものの寸法の小さいボルトで済むことから、外径の大きなパイプの接続にはフランジを用いることが多くなります。

また、自動車の吸気系や排気系では、量産品であることから加工工数が少なくて済むと同時に作業空間が狭くて済むフランジで接合される部分が多くあります。

フランジを使用する場合、流体の圧力と配管の断面積に応じた適切な厚みのフランジと、適切な数と寸法のねじを選ばなければなりません。流体の圧力に対してフランジが薄いと変形し漏れが生じてしまう場合がある。ねじが細い、あるいは本数が少ない場合にはねじが伸びて漏れが生じるなどの問題が発生する場合がある。ただし、締結箇所を増やせば少ない場合よりも薄いフランジと細いねじで済ますことができます。細いねじで済む場合には、フランジの外径を小さくすることができます。

フランジは、配管継手の一種であり、パイプとパイプの接続や配管に繋がる機器類のノズルとの接続、バルブ・温度計・流量計器・液面計器などの各種計器との接続、或いはパイプの末端の閉止(閉鎖)などに使われる、つば状の配管継手のことをいいます。

フランジは、 スラリー(粉体)や粘性流体を扱う配管で、配管内部の詰まりなどのために配管を分解・取外してパイプ内部を清掃・メンテナンスする必要がある配管などによく用いられます。

一般に、フランジを用いた配管のフランジ接続は、ねじ込み接続に比べて、その漏れ・強度・作業性なども良好で信頼性もあり、分解・組立が容易であるなどのメリットがあります。

配管などの接続に用いられるフランジは、以下の図のように円盤、或いは円盤と円筒を組み合わせた形状になっていて、例えばパイプ同士を接続する場合には、円盤部分同士をボルト・ナットなどで締結することによって、パイプ同士を繋ぎ合わせます。

パイプとの接続方法の違いにより、差込み溶接フランジ(スリップオンフランジ)、ソケット溶接フランジ(ソケットウェルドフランジ)、突合せ溶接形フランジ(ウェルドネックフランジ)、ねじ込み形フランジ、遊合形フランジ(ルーズフランジ、ラップジョイント)などの形式があります。

配管に使われる配管継手の一種としてのフランジ

※ここで説明するフランジとは、上述のような配管に使われる配管継手の一種としてのフランジになります。
広義の意味でのフランジとは、円筒形あるいは部材からはみ出すように出っ張った部分のことなどを総称して、フランジと呼ばれています。
配管継手としてのフランジ以外にフランジと呼ばれるフランジとは、以下のようなフランジのことを指していう場合があります。

H形鋼などのはり部材におけるフランジ

H形鋼のような梁部材(はり部材)に用いられる形鋼などの場合は、以下のH形鋼の例のように、フランジとウェブから構成されます。
上下に設けた水平の板要素がフランジとフランジどうしを結ぶ鉛直の板要素がウェブと呼ばれ、主にH形鋼におけるフランジは曲げモーメント、ウェブはせん断力に抵抗力として作用することにより、断面二次モーメントが大きくなり、曲げ剛性がアップします。

H形鋼などのはり部材におけるフランジ

H形鋼のフランジ

車輪などにおけるフランジ

以下のような、車輪に用いられる部分にもフランジと称される部分があります。

  • 自転車用、オートバイ用、自動車用などの、タイヤがリムと嵌合する部分に用いられるフランジ。
  • 自転車などのハブにおけるフランジ。
    スポークの取付用としてハブからつば状にはみ出した部分がフランジと呼ばれます。
  • 鉄道車両のフランジ。
    鉄道車両の車輪がレールからはずれないようするために、車輪の縁に設けられた出っ張りがフランジと呼ばれます(下図参照)。

鉄道車両の車輪のフランジ

鉄道車両の車輪のフランジ

これらのフランジは、配管継手としてのフランジとは、全く用途や分野が異なったり、それぞれのフランジに関連性はあまりありませんが、いずれもつば状の形状をしているという点において、いずれも『フランジ』と言われます。

これらの各種フランジとは区別しないと混乱する場合などは、配管継手としてのフランジは、『フランジ継手』『管フランジ』などと呼ばれます。

なお、JIS規格では、配管継手としてのフランジは、『管フランジ』という呼び名で規定されていますが、以降の説明で言うフランジとは、特に断りの無い限り、フランジ継手或いは管フランジのことを指します。

■ フランジを規定する場合の区分

フランジを規定する場合には、主に以下のような項目で区分することができます。
配管・パイプへの接続方法(取付方法)
フランジシール面(フランジフェイス面)の形状
フランジの材料・材質
フランジの圧力-温度基準(P-Tレーティング)

■ 配管・パイプへの接続方法(取付方法)によるフランジの種類

配管・パイプへのフランジの接続方法の違いによって分類すると、主に以下の種類のフランジがあります。
差込み溶接式フランジ(スリップオンフランジ:Slip-On Flange)
ソケット溶接式フランジ(ソケットウェルドフランジ:Socket Weld Flange)
突合せ溶接式フランジ(ウェルドネックフランジ:Weld Neck Flange)
遊合形フランジ(ルーズフランジ:Loose Flange/ラップジョイント:Lapped Joint Flange)
ねじ込み式フランジ(スレーデッドフランジ:Threaded Flange)
以下、それぞれの接続方法によるのフランジの特徴・用途など。

 

差込み溶接式フランジ(スリップオンフランジ:SO)

差込み溶接式フランジ

差込み溶接フランジとは、スリップオンフランジとも言われ、溶接式フランジの一種で一般的に広く使われている接続方式のフランジです。
その形状は、上図のように、ハブのあるもの(ハブフランジ:SOH)とハブをもたないもの(板フランジ:SOP)があり、その呼び径などで分けられている場合もありますが、一般的には板フランジ(SOP)は小口径・低圧の配管系に使用されます。

差込み溶接フランジは、上図のようにフランジにパイプ・配管を差し込んでフランジの上面と、フランジ内径の内側をそれぞれ隅肉溶接して接続します。
JISフランジでは、呼び圧力20K及び30Kのスリップオンフランジ(ハブフランジ:SOH)には、A形、B形 及び C形 の3種類のハブフランジがあります。

ソケット溶接式フランジ(ソケットウェルドフランジ:SW)

ソケット溶接式フランジ

ソケット溶接フランジとは、ソケットウェルドフランジとも言われ、これも溶接式フランジの一種です。
ソケット溶接フランジも差込み溶接式フランジと同様に、上図のようにフランジにパイプ・配管を差し込んで接続します。

ソケット溶接フランジの場合は、フランジ内径に段差があるため、その段にパイプを載せて、溶接はフランジの上面だけを隅肉溶接して取り付けます。

差込み溶接フランジでは、フランジのシート面を隅肉溶接の余盛などで傷つける恐れがあり、それを防止するために特に小口径配管・フランジの接続に用いられる場合が多いフランジです。

突合せ溶接式フランジ(ウェルドネックフランジ:WN)

突合せ溶接式フランジ

突合せ溶接フランジとは、ウェルドネックフランジとも言われ、石油・化学装置関連などには非常に多く使用されている溶接式フランジの一種です。
突合せ溶接フランジは、パイプや配管部品類と直接溶接接続が可能であるため、溶接工数が少ない利点があり、また、熱応力や振動などの外力に対する強度も強い上に、突合せ溶接であるために内面の仕上がりも平滑であるという利点もあり、最も信頼のおけるフランジです。

一方で、他のフランジと比べてフランジ価格が高価なため溶接工数を含めても高価でありなどの欠点もあります。

遊合形フランジ(ラップジョイント:LJ/ルーズフランジ)

遊合形フランジ

遊合形フランジとは、ラップジョイント、又は、ルーズフランジとも言われるフランジです。
ルーズフランジは、一般には、上図のようなスタブエンドと呼ばれるつば状の配管継手と組み合わせて使用されます。
スタブエンドのつばの無い側にパイプを突合せ溶接して、パイプとスタブエンドを接続します。
ルーズフランジとスタブエンドはスタブエンドのつば部分で引っかかりをもつだけなので、両者には拘束がなく、ルーズフランジは自由に回転することができます。
そのため、相手側のフランジにボルト・ナットで取り付ける際、配管自体をを軸方向に回転させることなく、ルーズフランジだけを回転させてルーズフランジのボルト穴の位置を自由に調整することができます。

ルーズフランジは、一般には以下のよう場合に使用されます。

  • 腐食流体などを扱う配管で、その材料が高価であって、フランジもそのパイプ材質と同材質で作るとフランジが非常に高価になる場合。
  • 銅や鉛などのように、フランジ材料としては不向きな場合。
  • 接続する相手側が変わってその都度フランジボルト穴位置も変わるような場合。

上記のような用途に使われることから、一般にはルーズフランジ材質とパイプ材質とは異なる場合が多くなります。
ルーズフランジは、一般に溶接が不可能なパイプとの接合に用いられ、低圧・低温の、あまり危険のない配管などの接続に用いられます。
例えば、鋳鉄管、飲料水配管、計装用空気配管などの配管系に用いる亜鉛メッキ管などの接続に使用され、フランジ材質も可鍛鋳鉄が一般的材質になります。

ねじ込み式フランジ(スレーデッドフランジ:TR)

ねじ込み式フランジ

ねじ込みフランジとは、スレーデッドフランジとも言われ、フランジに配管をねじ込んで接続するフランジです。
ねじ込みフランジは、フランジ内径にテーパーめねじが切ってあり、パイプの先端部分にテーパーおねじを切った配管をねじ込んで接続します。
ねじ込みフランジは、溶接作業が不要で、そのコストがかかりませんが、ねじによる接続のため、シール性に信頼がおけず、主に小口径・低圧・常温の配管系のフランジなどに利用されます。

フランジシール面(フランジフェイス面)の形状によるフランジの種類

なお、フランジシール面とは、フランジフェイス面などとも言われ、以下の図のように、フランジのガスケット面(ガスケット座面)のことです。

 フランジシール面(フランジフェイス面)の形状によるフランジの種類

配管や機器ノズルなどに取り付けたフランジ同士を接続する場合には、配管内部の流体の漏れ防止のために、一般的にはフランジとフランジの間にガスケットを挟み込んだり、フランジに溝を切ってOリングをはめるなどの方法でシールを行います。
フランジシール面(ガスケット座)は、使用するガスケットの種類によって大きく左右されるので、フランジシール面の決定は、ガスケットの選定との関連で決める必要があります。

ガスケット座の種類としてには、主に以下のようなものがあります。

全面座:FF(フラットフェイス:Flat Face)

全面座:FF(フラットフェイス:Flat Face)

全面座とは、フラットフェイスとも言われ、上図のようにガスケット座面を全面に平面に仕上たものをいい、記号は FF で表されます。
全面座(FF)は、一般に軟質のガスケットと共に使用され、JISフランジでは呼び圧力が10K以下、JPIフランジではクラス150以下などに利用されます。
特に、機器やバルブなど接続する相手側の相フランジが鋳鉄製の場合は、全面座を使用しなければいけません(ボルト・ナットの締め過ぎに起因する強度上の理由などから)。

平面座:RF(レイズドフェイス:Raised Face)

平面座:RF(レイズドフェイス:Raised Face)

平面座とは、レイズドフェイスとも言われ、上図のようにボルト穴の内側に平らな座面を設けたものをいい、記号は RF で表されます。
平面座は、上図のようにボルト穴の内側にほぼ接する平面座の大平面座と、大平面座より小さい平面座の小平面座とに区別する場合がありますが、平面座(RF)は、最も広く利用されているフェイス面のフランジです。

はめ込み形:MF(メールアンドフィメール:Male and Female)

メール座:MF-M/フィメール座:MF-F

メール座:MF-M/フィメール座:MF-F

はめ込み形とは、メールアンドフィメールとも言われ、上図のように一対のフランジを接合面でオス(メール座)・メス(フィメール座)の形に作ったものをいい、記号は MF(メール座:MF-M、フィメール座:MF-F) で表されます。
はめ込み形(MF)は、バルブのボンネットフランジやコンプレッサーの接続フランジなどのように、心出しを正確に行う必要のある場所などのフランジに利用されます。

溝形:TG(タングアンドグルーブ:Tongue and Groove)

タング座:TG-T/グルーブ座:TG-G

タング座:TG-T/グルーブ座:TG-G

溝形とは、タングアンドグルーブとも言われ、上図のように一対のフランジの接合面に、一方は溝形の凸部を設け(タング座)、他方には溝形の溝を設けたもの(グルーブ座)をいい、記号は TG(タング座:TG-T、グルーブ座:TG-G) で表されます。

溝形(TG)は、はめ込み形とは異なり、座面は凹面と凸面からなっているため、ガスケットの当たり面が小さく、面圧を大きく取ることができます。
そのため、気密性がよく、危険性流体、真空配管用、高圧のアンモニア配管用などに使用されます。

リングジョイント座:RJ(リングジョイント:Ring Joint Face)

リングジョイント座:RJ(リングジョイント:Ring Joint Face)

リングジョイント座とは、上図のようにフランジの接合面で、リングジョイントガスケットが入れられる溝をもつものをいい、記号は RJ で表されます。
リングジョイント(RJ)は、使用するガスケットは金属であり、そのシール面は金属の線接触となるので、そのシール性は非常によく、高温高圧に耐えることができます。

また、他の座面のフランジよりも接続する配管の曲げ方向の外力に対しても強さを発揮し、シール面が露出していないのでシール面の損傷も少ないといった利点もあります。

しかし、メンテナンス時には、フランジの脱着に多少の困難さを伴うといった欠点もあります。
リングには、八角形(オクタゴナル)や印形(オーバル)などがあります。

 

フランジ材料・材質の種類

フランジの製造に使用される材料には、用途や分野により、各種の材料が利用されます。
各JIS規格フランジにおいて使用される材料・材質の一例は以下のとおりです。

JIS B 2220 鋼製管フランジ

■炭素鋼:

  • 圧延材:SS400(JIS G 3101)、S20C・S25C(JIS G 4051)
  • 鍛造材:SF390A・SF440A(JIS G 3201)、SFVC1・SFVC2A(JIS G 3202)
  • 鋳造材:SC410・SC480(JIS G 5101)、SCPH1・SCPH2(JIS G 5151)

■低合金鋼:

  • 圧延材:-
  • 鍛造材:SFVAF1・SFVAF11A(JIS G 3203)
  • 鋳造材:SCPH11・SCPH21(JIS G 5151)

■ステンレス鋼:

  • 圧延材:SUS304・SUS316・SUS304L・SUS316L(JIS G 4304、JIS G 4305)
  • 鍛造材:SUSF304・SUSF316・SUSF304L・SUSF316L(JIS G 3214)
  • 鋳造材:SCS13A・SCS14A・SCS16A・SCS19A(JIS G 5121)

JIS B 2239 鋳鉄製管フランジ

■ねずみ鋳鉄:FC200(JIS G 5501)

■球状黒鉛鋳鉄:FCD-S(JIS B 8270)、FCD350・FCD400・FCD450(JIS G 5502)

■黒心可鍛鋳鉄:FCMB27-5・FCMB35-10・FCMB35-10S(JIS G 5705)

上記の材料と同等以上と認められるASTM材料とISO材料(参考)

■ねずみ鋳鉄:ASTM A126-A/B、ISO 185-200/250

■球状黒鉛鋳鉄:ASTM A395、ISO 1083-350-22/400-15/450-10/600-3、ISO 2531-400-5

■黒心可鍛鋳鉄:ISO/DIS 5922-BF27-05/BF30-06/BF35-10、ASTM A47-32510

JIS B 2240 銅合金製管フランジ

■スリップオンろう付式フランジ(SO):
  • CAC202(YBsC2)(JIS H 5120)
  • CAC407(BC7)(JIS H 5120)
■一体フランジ(IT):
  • CAC406(BC6)(JIS H 5120)、UNS No.C83600(ASTM B62/B271/B584)
  • CAC402(BC2)(JIS H 5120)、UNS No.C90300(ASTM B271/B584)
  • CAC407(BC7)(JIS H 5120)、UNS No.C92200(ASTM B61/B271/B584)

JIS B 2241 アルミニウム合金製管フランジ

■JIS H 4040:A5083BE、A5083BD、A6061BE、A6061BD

  • 対応ASTM材料規格(参考):ASTM B221(5083、6061)、ASTM B211(6061)
  • 対応ISO材料規格(参考):ISO 6362-1~-5(AlMg4,Mn0,7、AlMg1SICu)、ISO 6363-1,-2,-4及び-5(AlMg4,Mn0,7、AlMg1SICu)

■JIS H 4140:A5083FD、A5083FH、A6061FD、A6061FH

  • 対応ASTM材料規格(参考):ASTM B247(5083、6061)

フランジの呼び圧力(レーティング)|圧力-温度基準(P-Tレーティング)

装置配管などには数多くのフランジが使用されますが、これらをそれぞれの使用条件によって一つずつ計算していたのでは大変な労力が必要になります。
そのため、おのおのについて設計するよりも、フランジをいくつかのグループに分けて規格化すれば、設計条件によるフランジの種類を減らして互換性を持たせることができ、頻雑さをなくして総体的には経済設計となります。

このような考えから、JISやANSI、JPIなどのフランジいずれにおいても、フランジには呼び圧力というものを規定して、いくつかの種類に分類しています。
この呼び圧力のことを、レーティングとも呼んでおり、これは、フランジの形状や材質によって異なってきます。

JISフランジ(JIS B 2220 鋼製管フランジ)の場合には、この呼び圧力(レーティング)として、5K、10K、10K薄形、16K、20K 及び 30K の6種類の呼び圧力のフランジレーティングが規定されています。

(この6種類のほかには、2K、40K 及び 63K のフランジレーティングが、参考として附属書に規定されています。)
この呼び圧力に対する流体の温度との関係、つまり、最高使用圧力と流体の温度との関係を定めたもを、圧力-温度基準、或いは、P-Tレーティングといいます。
JPIフランジの場合は、JPI-7S-65(フランジ及びバルブのP-Tレイティング)に規定されており、クラス 75、150、300、400、600、800、900、1500 及び 2500 のJPIフランジが規定されています。

フランジ規格には、このP-Tレーティングが定められており、流体の状態・温度、圧力条件などの設計条件をこの圧力-温度基準に当てはめることによって、呼び径ごとに設計条件に合った適切な形状・材質のフランジを容易に選定することができるようになっています。

配管フランジの用途と種類

 フランジは、石油、ガス、水等の輸送や(パイプライン、船舶)、これらの製造設備、電力発電、化学薬品、化学肥料の製造設備等様々な分野で使用されており、その種類、形状は多種に亘り流体の種類や使用環境によって材質も多様化しています(低炭素鋼、低合金鋼、ステンレス鋼、高合金鋼、非鉄金属等)
 フランジは接続される鋼管との接続方法により第2図に示すように形状が分類され、また使用されるガスケットの種類により第3図のように座の形状が分類されており、指定条件が異なれば違った形状のものとなるので発注に際しては第1図に示す項目の明確な指示が必要となります。(第2図、第3図共にJPI-7S-15規格から引用)

フランジ発注時の指示必要項目

第1図 フランジ発注時の指示必要項目

フランジの形状

第2図 フランジの形状

ガスケットの形状

第3図 ガスケットの形状

(1)適用材質規格名及び材質記号

フランジに最もよく使用される材質には低炭素鋼、低合金鋼、ステンレス鋼(個々の詳細材質名は省略)があり、規格別に大別すると国内工事用はJIS(日本工事規格)、海外工事用はASME(米国機械学会規格)やASTM(米国材料・試験協会規格)が適用されています。
 また、工事によっては、高圧ガス保安法や原子力告示並びに電気事業法等の法令が適用されるものもあり、これらの適用材質規格や法令によって製造要領、検査項目及び資格認定有無等の要求事項が異なります。

(2)適用形状規格

弊社が製作しているフランジの形状規格は以下のグループに分類されています。

適用形状規格

 上記のように形状規格には種々のものがあり、規格が異なれば設計思想、寸法・形状も大きく異なるため的確な指示が必要となります。

(3)圧力クラス

前項に述べた各規格の設計基準の違いにより、圧力クラス(呼び圧力)が規格にり異なります。各規格毎の圧力クラスは以下の通りです。

JIS系:5K、10K、16K、20K、30K、40K、63K
ASME及びJPI系:150Lbs、300 Lbs、400 Lbs、600 Lbs、900 Lbs、1500 Lbs、2500 Lbs
API-6A:2000PIS、3000 PIS、5000 PIS、10000 PIS、15000 PIS、20000 PIS
EN規格系:PN10、PN 16、PN 20、PN 50、PN 110、PN 150、PN 260、PN 420

(4)形状区分

第2図に示すように鋼管との接続方法の違いにより次の基本的な形状が規格化されています。

突き合わせ溶接形(Welding Neck:WN)
スリップオン形(Slip-on Welding:SO)
一体形(Integral又はLong Welding Neck:LWN)
ソケット溶接形(Socket Welding:SW)
ねじ込み形(Threaded又はScrewed)
遊合形(Lapped Joint:LAP)
ブラインド形(Blind:BL)

 上記以外にもこれらの応用形として、異径鋼管を接続するレデューシングフランジと呼ばれるものも規格化されています。

(5)座の種類

フランジで最も重要な部分とされているのがガスケットコンタクト面と呼ばれている座です。使用されるガスケットの種類によって第3図に示す様に形状が分類され、形状だけでなく機械加工表面の仕上粗さ精度も細かく規定されています。流体のリークを防ぐためのシール性に重要な役割を持つ部分です。同一鋼管サイズ、同一呼び圧力、同一タイプ(例えばWNタイプ)であってもFF(全面座)やRF(平面座)とRTJ(リングジョイント)ではフランジの厚みや全高さが変わってくるため注意が必要です。

(6)適用鋼管径及び鋼管肉厚(SCH. NO.)

鋼管径呼称(呼び径)は、JIS規格ではA表示を用い、ASME系の規格ではB表示を用いており、それぞれ10Aから1500A(1/8Bから60B)まで規格に記載されています。また、SCH.NO. (スケジュール番号)とは鋼管の厚み区分を示す番号であり、SCH番号が大きくなるにつれ肉厚になります。ただし、SCH番号が同じであればどのサイズも同じ厚みになっているのではなく、これもサイズ毎にSCH番号によってすべての厚みがことなっています。
 JIS鋼管とASME(ANSI)鋼管では、同一呼び径であっても外径寸法が異なる範囲があり(5B、6B、8B、10B、12B)、外径寸法が違うことによってSCH番号毎の内径寸法も変わってきます。SOタイプのように鋼管を差し込んで溶接するものと、WNフランジのように鋼管と突合せ溶接するものや、SWタイプのようにフランジの内径寸法が一致するものは、開先部の外径寸法及び内径寸法に差が生じます。ASMEフランジJIS鋼管を接続する場合、またはその逆の時は、前もって製作側にその旨、指示がないと現場での溶接の際トラブルを起こす恐れがあります。

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