比例積分微分(PID)制御

■オフセットも無くしたい、制御応答も速くしたい。この両方を満足させるには、PID 動作 を使用します。

PID制御の基本は、
1)現在の偏差に比例した修正量を出す比例動作(Proportional Action:P動作)と、
2)過去の偏差の累積値に比例した修正量を出す積分動作(Integral Action:I動作)と、
3)将来の予測値、偏差が増加しつつあるか減少しつつあるか、その傾向の大きさに比例した修正量を出す微分動作(Derivative Action:D動作)
の3つを加算合成したものです。

これは「動特性」という立ち上りのときに発揮される特徴です。

さらに、PID制御は、目標値と実際値との間にズレが発生したとき、つまり偏差が発生したとき、

4)比例動作は偏差の変化に対して、直ちに応動するという「即応追従」動作をし、
5)積分動作は偏差がゼロになるまで、つまり目標値と実際値がピッタリ一致するまで制御出力を出し続けるという「継続追従」動作をし、
6)微分動作は偏差の変化率の大きさから将来の動きを予測し、これに対応する制御出力を出す「予見追従」動作をしています。

つまり、PID制御は、変化に対しては「即応追従」、「継続追従」および「予見追従」という動作を組合せて制御を実行していることにもなります。

これは「静特性」という安定状態で発揮される特徴です。

僅か3つの要素で、この「現在・過去・未来」と「即応・継続・予見」という6つの側面から、「動特性」と「静特性」という2つの状態での安定制御が出来るので、発明されてから尚百年経過しても多くの場所で使われています。

■それでは、このPIDはどのように発展したのでしょうか?

●古代のギリシャやローマでは、 フロート弁が水の流れを調節するために使用されていました。 単純ですが、比例制御の起源です。

ジェームス・ワット

ジェームス・ワット

●1778年にジェームス・ワット(James Watt, 1736 – 1819スコットランドのエンジニア、蒸気機関の出力を表わす単位として「馬力」(ワット)という単位も作った。)が、蒸気機関制御のために、遠心振り子(flyball)による比例方式で弁の開度制御機構を開発しました。

ドプロニ

ドプロニ

●1791年にドプロニ(Gaspard Clair François Marie Riche de Prony1755-1839フランスの数学者・水力エンジニア「 周波数解析のProny法の発案者」)が、積分制御方法を開発しました。

●1857年にスロープ(Horatio Nelson Throop 1807-1884アメリカの造船技師・船長)が、蒸気機関の制御のために比例微分制御を開発しました。

ジェームズ・クラーク・マクスウェル

ジェームズ・クラーク・マクスウェル

ジェームズ・クラーク・マクスウェル

●1868年ジェームズ・クラーク・マクスウェル(James Clerk Maxwell、 1831 – 1879スコットランドの理論物理学者「マックスウェルの悪魔」で有名)が制御動作の力学的研究を行い、安定制御の条件を解明した“On Governor”という論文を発表しました。

スペリー

スペリー

●1911年にスペリー(Elmer Ambrose Sperry 1860-1930 アメリカの発明家・企業家、「近代航海技術の父」と言われています)が、船の自動操舵の為にPID制御機を開発しました。

●1912年米国フォックスボロ社(Foxboro)にって、設定値を変更できるON-OFF制御器が開発されました。

●1922年にマイノースキー(Nicolas Minorsky 1885-1970アメリカの数学者)が、スペリーの考案した船の自動操舵用PIDを論文化しました。

●1931年米国フォックスボロ社(Foxboro)にってスタビローグと命名された空気差動式PI調節器が作り出されました。

●1936年米国テイラー インストルメンツ社(Taylor instruments 現在は ABB社の一部)によって「ダブルレスポンス プラス フルスコープ」と命名された空気式の可変型PI調節器が作り出されました。これは、PID調節器の原型ともいわれています。

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