ハロゲンヒーターのご使用上の注意事項

ハロゲンヒーターの突入電流に対する対策について

消灯時のハロゲンヒーターの電気抵抗は0.2~0.7Ωです。
つまり、点灯時に大きな突入電流が瞬間的に流れやすい状態です。

突入電流はランプ寿命に直結します。ヒーターの点灯時はできる限り電源電圧をスローアップする必要があります。
突入電流はヒーターの定格電流値に比例しますが、電流の大きさに関わらずヒーターの電源電圧のスローアップは必要です。
スローアップ時間は、DCの小型でも最低1秒は必要で、ACの大型なら最低2秒は必要です。
また、突入電流対策機器も必ず取付てください。
【推奨品 岡谷電機産業 スパークキラーCR50500・0.5μF±20%  】

ハロゲンヒーターのご使用上の注意事項

各突入電流倍率はピーク値比較
突入電流補正値は、電源抵抗を0Ω時と仮定した場合の計算値。

スローアップ0秒における、突入電流の最初の1サイクルはぼSIN波。
その後、電力調整器の電流制限が作動し初め、3サイクル目後半から電流制限状態に入る。
スローアップ時の突入電流は、位相制御された波形であるので、
突入電流の実効値比は上記の約40%(三角波形と仮定して)

結論

電力調整器に許容される突入電流は、定格の約3倍×約2秒。
電力調整器の定格電流30Aが場合
スローアップ0秒ピーク電流値で計算→30×3/7=12.9A迄のヒータが使用可能です
スローアップ0.5秒、ピーク電流値で計算→30×3/5.4=16.6A迄のヒータが使用可能です
スローアップ1.0秒、ピーク電流値で計算→30×3/5.2=17.3A迄のヒータが使用可能です
実効値で計算→30×3/(5.2*04)=43.2A迄のヒータが使用可能です

“突入電流を実効値で考えても良いかは、
ヒューズおよびサイリスタプロテクタの遮断特性から考えると微妙です。”

実験機で、ヒューズおよびサイリスタプロテクタが作動しないか実験が必要です。

電力調整器に許容される突入電流1

電力調整器に許容される突入電流2

また、電源機器によって過電流(突入電流)が通電しブレーカが働き、電流を遮断する可能性もあります。
安価な直流電源器は過電流保護(OCP)の内「フの字型特性」による保護がある場合があり、
ハロゲンヒーター用電源としては使用不可な場合があります。
それは点灯時の突入電流で「フの字型特性」の領域に入り出力電圧が立ち上がらない為です。
「逆L字垂下特性」であれば使用可能です。ご使用される場合は必ずメーカーに確認をしてください。
交流電源の制御には位相制御が一般的です。
位相制御では、連続的に出力電圧を調整できる為、突入電流の防止ができます。

ハロゲンヒーターの冷却について

高温加熱する場合はハロゲンランプのシール部の破損や本体の劣化に影響し寿命へと繋がる為、必ず冷却してください。コントローラーには冷却が遮断された場合、ヒーターの電源を遮断するような安全対策を付けることをお勧めします。

ハロゲンヒーターの冷却方法は冷却ファン搭載型と圧縮空気冷却型と水冷型の3種類があります。

下記は各冷却方法の特徴です。

(1)冷却ファン搭載型

ヒーターコントローラーだけで使用できます。
冷却ファンの定格電圧で稼働させて下さい。ご使用は常温での想定です。

(2)圧縮空気冷却型

ヒーターコントローラーとエアコンプレッサーが必要ですが小型です。
エアーの流量はヒーターの電力100W当たり約20L/min.以上でご使用ください。
圧力は一般的な最高圧力の0.7~0.9MPa(約8kg f/c㎡)程度での使用を想定してます。

(3)水冷型

ヒーターコントローラーとチラー(冷却水)が必要ですが、真空容器の中でも使用できます。
冷却水の流量はヒーターの電力1kW当たり0.5L/min.以上が最低限必要です。
安全の観点から2倍以上をお勧めします。
冷却水温度は約15℃を想定しています。冷却水が低すぎる場合は結露や結露から発生する雫による漏電の恐れもあります。圧力は200kPa(約2kg f/c㎡)程度以下使用を想定しています。300kPa以上の場合は別途ご連絡ください。

ハロゲンヒーターの使用する電圧について

定格電圧を超える電圧はフィラメントの断線を引き起こし寿命を極端に縮めます。
必要加熱条件を満たす範囲で出来るだけ低い電圧で御使用頂くとランプ寿命は良くなります。
10%の電圧低下すると寿命は約3倍、100%電圧上昇を上げると約1/3にと変化します。

ハロゲンヒーターの取り付け向きについて

ポイントヒーターはどの角度でも使用できますが、ラインヒーターは長手方向を水平にし使用してください。ラインヒーターを縦に設置するとランプのフィラメントに負荷がかかる為です。

なるべく振動や衝撃を加えないようにして下さい。衝撃が強い場合は石英管の破損やフィラメントの断線に繋がります。

フィラメントに目視では破損の形跡がなくても、破損している場合があります。この場合、実効値が定格電圧以下でも瞬間的には高い電圧が加わるので、ランプ内で絶縁破壊を起こし、断線や破裂をする場合があります。

ハロゲンヒーターの清掃について

集光鏡は最もメンテナンスを要する場所です。
加熱対象物から発生する煙や飛散物により、集光鏡が汚れると大幅に反射率が低下します。
汚れを防ぐために、保護ガラスを集光鏡の前面に設置し、これを適時清掃,交換してください。
また、保護ガラスで内部を密閉し集光鏡内部にコンプレッサーなどで正圧にする方法もあります。
水冷型の場合は、水質によっては冷却経路に異物が蓄積する可能性があります。
また、アルミが空気や酸素と結合し白い水酸化アルミニウムが蓄積されることもあります。
冷却経路を適宜確認し、綺麗に保つようにしてください。

ランプの交換について

ポイントヒーターの交換用ランプは全てベース付きです。ベース付きなので集光鏡の付け外しだけで交換できるので、再現性よく高精度に装着できます。
ラインヒーターの交換用ランプ電線付きですので、こちらも同様に端子の付け外しのみで交換できるので、再現性よく高精度に装着できます。

注意点は、反射率に影響するのでランプや集光鏡が汚れないように交換してくだい。
また、素手でランプを触ると手の皮脂がガラス面に残り、点灯時の破損や加熱効率的低下の原因となります。保護具を着用してから交換するようにしてください。指紋等が付着した場合はアルコールを塗布した布で脱脂してください。

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